兵庫県立龍野高校テニス部熱中症事故被害者 栗岡梨沙さんのご両親より

2019年4月3日

平成19年5月24日、兵庫県立龍野高校の2年生だった娘りさは同校女子テニス部の練習中熱中症で倒れ、救急搬送されました。一命は取り留めましたが、脳に重い障害が残り、今も見ること、話すこと、食べること、手足を動かすこと、何一つできません。
 朝元気に家を出た娘の変わり果てた姿を見た時の衝撃を、これからも忘れることはありません。

 当時は校舎改修工事のため校内のテニスコートが使用できず、学校から自転車で約10分の所にある、たつの市営テニスコートで練習をしていました。
 事故当日、顧問の先生は練習開始後30分で現場を離れ、教師が立ち会わない中、練習が行われました。
 この日は中間テスト最終日で11日ぶりの部活動。初夏のような蒸し暑い日でした。
 「事故当日の練習は、キャプテン(娘のこと)が練習メニューを考え、部員たちに指示し、自ら倒れた。したがって学校に瑕疵はない。学校に落ち度がないのにどうしろというのか」と、保護者を恫喝するような校長の高圧的な態度には愕然としました。
 しかし、私達が独自に調査を進めると、キャプテンは毎日昼休みに職員室に呼び出され、練習メニュー等について詳細に指示を受けていたことが判りました。
 事故のあった日も、顧問教諭が3時間休憩なしの厳しい練習メニューを作成し、詳細なメモをキャプテンに渡して練習内容を指示していたことが判明しました。
 顧問の指示は絶対です。子どもたちが逆らうことなど許されません。
 「なぜ事故はおきたのか、防ぐことはできなかったのか」と問う私達に対し、学校は事態の収拾と沈静化に全力をあげているのですから、話がかみ合うわけがありません。

 事故から3年後、事故の背景、責任の所在を問い、提訴いたしました。
 裁判で
 「事故調査はしていない、原因究明が再発防止になるとは思わない」
 「保護者に謝罪はしていない。道義的責任で謝罪しても法的責任にすり替えられる。そうなれば金銭の要求につながると思った」と陳述する校長。
 「学校が調べなくても、両親がすでに調べているのだから事故調査をする必要は無い」
 「顧問は熱中症の専門ではないのだから、熱中症になるとは思わなかった」と主張する兵庫県。
 11日ぶりの練習、テスト期間中のため前日は睡眠不足、急に暑くなった等、まさに熱中症を引き起こす要因が揃っています。何も3時間一切休憩なしの練習を指示する必要は無かったと思います。
 多くの方に支えられ裁判では私達の主張が認められました。

 全国の学校では、同じような熱中症事故が何度も繰り返されています。
 無知と無理な指導で事故は発生するのです。
 昭和50年以降、学校管理下で熱中症により死亡した生徒は143人。
 (独立行政法人 日本スポーツ振興センター 平成26年3月発行「熱中症を予防しよう』より)
 少しの知識で、少しの注意で、少しの配慮で、子供たちの命は守られるのです。

 かなえたい夢もあったでしょう。仕事も結婚も子育てもしたかったでしょう。でもそれも儚いものとなりました。
 将来を閉ざされた娘のことを想うと本当に悲しいです。
 それにもまして、倒れた原因を究明せず、そして改善もせず、「不幸な事故を二度とおこさない」と思わない兵庫県の姿勢は残念でなりません。

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2015.12.17 神戸新聞 最高裁県棄却
2015.12.24 神戸新聞社説
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兵庫県立龍野高校テニス部熱中症事故については、こちらのページもご覧ください。

>>兵庫県立龍野高校テニス部熱中症事故について

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