『子ども虐待と貧困―「忘れられた子ども」のいない社会をめざして―』

松本伊智朗 / 清水克之 / 佐藤拓代 / 峯本耕治 / 村井美紀 / 山野良一 著
明石書店 出版 2010年刊
<内容紹介>
子ども虐待の背景としての貧困は現場ではかねて認識されてきたが、様々な偏見への懸念からその関係を問うことはタブー視されてきた。子どもの貧困が可視化され始め、今ようやく子ども虐待と貧困の関係が問いかけられる。どちらをもなくすことを願う待望の書。
<目次>
序章 いま、なぜ「子ども虐待と貧困」か(松本伊智朗)
1 本書の主張と問題提起
2 本書の構成と本章の課題
3 子育て家族をめぐる貧困の現状
4 調査結果に見る子ども虐待と貧困
5 不利と困難の複合的側面
6 「子ども虐待」と「貧困」の論争的な性格
7 子ども虐待問題と貧困の再発見
8 貧困と社会的共感
序章補論 貧困という概念
第1章 児童相談所から見る子ども虐待と貧困(清水克之)
1 毎日寄せられる子ども虐待通告
2 重症な子ども虐待の生活条件調査
3 子ども虐待は貧困問題と強い関係
4 家庭に対する基盤整備を
5 だれひとり「忘れられた子ども」のいない社会をめざして
第2章 母子保健から見る子ども虐待と家族の貧困(佐藤拓)
1 見えてこない貧困への支援と母子保健
2 保健機関の調査から見る貧困
3 母子保健から子どもと家族の貧困に支援を行うために
第3章 学校教育から見る子ども虐待と貧困(峯本耕治)
1 「見えにくい不利」防止と学校の役割――問題意識
2 貧困が学齢期の子どもにもたらす「見えにくい不利」
3 より深刻な「見えにくい不利」
4 学校は貧困の世代間連鎖を防ぐ最大の公的システム
5 学校でこそできる虐待防止と家族支援
第4章 自立援助ホームから見る子どもの「自立」と貧困(村井美紀)
1 自立援助ホームの子どもたちの家庭の貧困
2 自立援助ホームにたどり着くまで
3 利用者が抱えるリスクと将来見通しの困難さ
4 自立援助ホームの支援方法と内容
5 自立の見通しとその後
6 自立援助ホームの限界
7 公的責任の不明瞭性
第5章 日米の先行研究に学ぶ子ども虐待と貧困(山野良一)
1 いくつかの事例から―はじめに
2 アメリカにおける調査・研究から
3 日本における調査・研究から
4 貧困が子ども虐待につながる経路 (1)
5 貧困が子ども虐待につながる経路 (2)
6 市民の使命として─おわりに
あとがき(松本伊智朗)