不登校

不登校の増加が本当に心配です

弁護士 峯本 耕治

 近年の学校教育の課題としては、小学校における暴力行為の増加、いじめの増加、不登校の増加、自殺事案や自傷事案の増加、保護者対応の困難化など、教職員の働き方改革や不祥事事案の増加など、様々な問題や課題が挙げられますが、私が一番気になっているのは不登校の増加です。子どもの数はどんどん減っているのに不登校数は、一時期は減少傾向が見られたのですが、近年、小中合計で13万人に高止まりし、さらに、再び増加傾向が見え始めているのです。
 もちろん、不登校の原因・要因には様々なものがあり一律に語ることはできませんが、不登校の増加が、少なくとも意味しているのは、学校の求心力の低下、つまり、子どもの成長発達の「居場所」としての学校の機能が低下していることです。
 「教育は子どもの自立を目的とするものであるから必ずしも学校教育にこだわらなくてよい」という意見もあり、数年前に成立した「教育機会確保法」も、教育の目的が子どもの自立支援であることを明記し、学校以外の居場所の充実のための措置を国・自治体に求めています。しかし、他方で、現在の日本社会において、子どもに対して学習の機会と社会的自立力を育む発達保障の機会を、集約的かつ平等に、継続的に提供できるのは学校教育以外にはありません。ですので、不登校の増加を、そのままやむを得ないこととして受け入れることは、絶対に許されないことだと思います。そう考えてしまうと、現在の学校教育を取り巻く環境要因からしますと、このままどんどん不登校が増加し、本当に危機的な状態になってしまうのではないかと、強い危機感を感じています。これは不登校になった子どもに対して、学校復帰にこだわらずに、学校以外の選択肢や居場所を積極的に保障していくこととは別問題であって(当然、これはしなければなりません)、現在の不登校増加の要因を分析して、必要な手立てを講じて、不登校の予防に積極的に取り組まないといけないと思います。
 近年の不登校の増加の一般的・社会的要因としては、①「色々としんどいことがあっても学校にはい かないといけない。」等の教育文化が崩れてきていること、そのため、子どもが抱える不安やしんどさが不登校という形で表現されやすくなっていること、②家庭の養育力の低下(親子の愛着形成やコミュニケーション環境の悪化)や幼児期からの子どもの遊びの環境の劣化等から対人スキル面での課題や不安を抱えた子どもが増加していること、③必然的に、学校における友人関係においても、いじめの増加や対人トラブルの増加など、子どもの安心・安全が脅かされる事象も増加していること、④学習面においても、小学校時代から、居場所を失いやすい子どもが増加していること、⑤経験値の低い教員の急増等により、教員についても、子どもとの愛着形成力や、子どもが抱える様々な愛着面の課題や発達面の課題についてのアセスメント力やプランニング力が低下していること、⑥特に小学校においては、チームによる教育・支援体制が整備されていないため、担任教員との関係の善し悪しが学校の求心力の低下に直結してしまう状況にあること、⑦家庭環境としても、ネグレクト家庭や過プレッシャー家庭の増加など、子どもの登校を支える力が低下傾向にあること、⑧スマホによるゲームや動画視聴などで、子どもが、人間関係を持たなくても容易に「居場所」を見いだすことが可能な状況にあること等の要因を挙げることができると思います。
 いずれも解決困難な要因ですが、少なくとも、このような要因や課題の存在を踏まえた上で、学校の居場所機能を高めるための取り組みを積極的にしていかないといけないと思います。

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