教育

教育委員会とは何か

角田 裕育(2020年度追悼記念講演会講演者)

 兵庫県立神戸高塚高校で石田僚子さんが、校門圧死してから今年で30年になります。私は当時小学6年生で、この問題を特集した小学館の雑誌『小学6年生』で体罰禁止の法律や管理教育のおかしさを知り、公教育への強い不信感を持ちました。
 97年に所謂、酒鬼薔薇事件が起きた際に、今回の依頼を頂いた高橋智子さん(当時・神戸高塚高校教諭)取材を通じて知り合い、荒んだ職員室の状況や、教育委員会が組合弾圧を行って来たこと、校門指導は実は兵庫県教育委員会の指導であったこと等を知りました。それ以降、教育委員会及び文部科学省という教育行政全体のおかしさを追及して参りました。その集大成が拙著『教育委員会の真実』(宝島社)です。
 いじめや体罰等の教員不祥事の元凶は教育委員会であり、隠蔽体質があると表題でハッキリ明示した初めての著作だと思います。それまで学校事故・事件が起きても、教育委員会という存在は不祥事を監督・始末する立場で、正義的な存在と思われていたことを否定したのが、拙著だと思っています。書いている内容は事実だったと自負しています。それが証拠に実名を晒した教育委員会関係者から誰一人抗議は来ませんでした(元々体罰教師だったと非難した教育長すら抗議してこなかった)。抗議どころか、「もっと告発して欲しい」という声が教員や保護者から寄せられたほどです。陰ながら応援を表明する教育委員会関係者もいました。
 さて、大雑把に「教育委員会」という言い方をしていますが、実際に狭義の教育委員会とは教育長を含む6人の合議制の組織を言います。今の兵庫県教育委員会で言うと、医師・学者・大企業経営者・作家等で構成されています。彼らは月2回合計4時間の会議をするのみで事足ります。もっと言うと本業多忙等を理由に欠席しても28万円の報酬が貰えます。この制度は戦後レイマンコントロール(市民支配)を教育行政に導入するという名目でアメリカ・GHQの主導で取り入れられました。当初は住民投票で選ばれる制度だったのに「政治介入を招く」という理由で公選制は廃止され、自治体首長が委員を選出する制度になっています。
我々やマスコミが「教育委員会」と言っているのは、普段業務にあたる自治体の設置されている事務局の職員たちの組織です。特に教員出身の職員である指導主事は「教育委員会の顔」と言われる程ですが、私は指導主事制度を廃止すべきだと考えるほど、学校現場との癒着を生み出す酷い制度だと考えています。彼らはやがて学校長・教頭になるか、あるいはその経験者ですから、教員の不祥事などまともに指導する訳がありません。
 実態はレイマンコントロール(市民支配)という言葉など何処にも見出すことが出来ない非民主的制度です。その実態をお話したいと思います。

1978年、神戸市生まれ。兵庫県立東神戸高等学校(定時制)中退。兵庫県庁職員、新聞配達員、書店員、業界紙記者、合同労組青年部長などを経て現在フリー記者。主に週刊誌・月刊誌等で政治経済問題をはじめ、労働問題、教育問題、宗教問題、司法問題といった社会科学・人文科学系のテーマをほぼ全般に手掛ける。中でも労働・経済問題として扱ったコンビニ・フランチャイズ問題に強い。著書に『教育委員会の真実』『セブンーイレブンの真実』他

スポンサーリンク
Show More

Related Articles

Back to top button
Close
Close