エッセイ
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ひょうたんから駒

公庄 れい

 1970 年代の終わり頃、私の属している食品の共同購入の事務所から電話がかかってきた。「お宅の近くの会員さんが話したい事があるって言ってるから会ってやって」で、住吉駅であったのが田村和子さん。小柄で清楚、女優の八千草薫さんのような人である。彼女は、安全食品連絡会に属しているが神戸市消費者協会が、毎年市から多額の委託費を受けながら何もしていない。委託費の使途を明らかにするよう運動をしたいので協力をして欲しいと言った。私は即座に言った。「ヒマなおばさん達が行政とイチャイチャするのよくあるでしょ。私関係ないわ。そんなん放っといたら」。彼女は悲しそうに「でも公庄さん婦人会へ入ったはるんでしょ」。婦人会?婦人会?時々ポストに『婦人神戸』っていう印刷物が入ってるけど、そしたら私も婦人会に入ってるのかしら、会員十万人の婦人団体協議会と市は車の両輪っていつも市長は言っているけどその十万人は私のように知らないうちに読み込まれている人達じゃないかしら。その事を皆に考えて貰わないといけない。そうだミニコミを出そう!!手紙すら殆ど書かない。子供の時、今日は作文の時間が有るって日は学校を休みたいと思っていた私。
 ホント、馬鹿ほど怖いモノはない。
 『め・め・め通信』自分の目で見ましょう。その目は弱い存在の側に立つ目でありたい。その芽を育てたい。そんな願いをこめて初めから二千部発行、年六回殆どは無料で各地の食品共同購入会へ配った。費用は、ウエス屋さんで買い込んだ着物の古着を売って作った。丁度高度経済成長の頃でウエス屋さんには大量の着物、電気で回る刃物でジャキジャキと切られていく着物、勿体なくて余計に買い込んでしまう。幸い、古着の店あたらし屋は 30 坪余の平屋、押し入れもたっぷりあったので買い込んでしまい後年大阪の文楽座に寄付することになった。神戸市に対しては婦人会への事業委託費名目で毎年出されている一億数千万の金の使途を明らかにして欲しいと市会に陳情した。この件が審議される冒頭、社会党のベテラン議員が、「この女には会って半日話しあった。この女は足を組んでタバコを吹かし一方的に自分の言い分ばかり言い張った。こんな女の出した陳情等とり上げる事はできない」と大演説をぶった。私は彼とは会っていないしタバコは吸わない。で陳情は棄却され、私は名誉毀損の裁判をした。法廷で彼は「この女には会った事はない」と証言したが最高裁で棄却。そして古着の店では幼児二人抱え、家を出た夫からの援助は一切ないという女性を赤字ながら雇用していた。彼女が生活保護を受ける手続きをした所、公庄は赤軍派だから公金はだせないと言われたというので即日やめて貰った。赤軍派の活躍した頃私は三児を抱え買い物以外は外出できない生活だったし、第一年齢が十歳以上拒っている。こんな馬鹿らしい事があったが、和服に縁のある事を始めたおかげで、後年始めた「くらしの着物資料館」がこの一月文化庁の指定資料となって後世に残されることになった。もし神戸市が私を婦人会員に読み込んで無かったら以上の事はすべて無かったのである。正にひょうたんから駒。

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