兵庫県立神戸高塚高校校門圧死事件

いのちの大きさ

大竹 奈緒子

今年、私は3人目の出産を経験しました。目まぐるしく忙しい毎日ですが、命のいとおしさを日々感じ、大切にしなくてはと心から思います。
災害、事故、事件、思いもせず命が失われる胸が張り裂けるニュースを耳にするたび他人事とは思えず、もし自分がこの立場だったら……と考えずにはいられません。
私は看護師として働いて18年になります。人の命そのものに関わる仕事であるため、普通より多く命が消えていく現場に立ち会ってきました。いずれ消える命と覚悟はしていても、その現実が訪れる時は本当に悲しい。まして、自分の大切な人が一瞬で死んでしまうことの悲しみは想像を絶します。
一生続く心の穴は、一生うめられません。
けれど心の穴は、他の人には見えない。いのちの大きさは人には見えない。
どんな大きなニュースも風化して、新しい情報に流されてしまう毎日。
わすれたらあかん、それなのに人は関わりがないと忘れていくのです。
私は19歳の時に友人を自殺で亡くしました。あると思っていた命が突然消えたことを心が受け入れるまで、とても時間がかかりました。毎年、彼女の命日には必ず実家にお花を送ろうと決めました。今年で21年目、素敵な友人を忘れたくないとの思いでやっているのですが、彼女を忘れていないということを毎年、ご家族に伝えたくてやっているようにも思います。
1つの命は大きな命なのです。人は新聞記事に載っているニュースの大きさや流れる情報量の多さを事の重大さの判断基準にしてしまいがちです。けれど、見えないところに本当に大切なことがある。私たちは、それに気付いて守れる命を守っていかなくてはと思うのです。
1番大切な「いのちを守ること」を本当に大切にされているか、常識と思われていることは本当に必要な正しさなのか、教育、医療、戦争立法、原発事故、食料のこと、全部つなげて今一度考え直す時が来ています。
高塚門扉事件から今年で25年になります。当時15歳だった石田僚子さんが生きていたら今年で40歳になります。私と同い年です。この25年で歩むはずだった彼女の人生は、「世の中の正しさ」に壊されてしまいました。

Last Updated on 2020年10月3日 by manager

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