石田僚子さん追悼10周年記念文集

顔を見ずに

飛田 雄一

 石田僚子さんが圧死させられて十年が過ぎた。この十年間、あまりにもいろんなことがありすぎて、ともすればこの「圧死事件」を忘れそうになる。神戸には、阪神淡路大震災があったし、須磨の事件もあった。
 当時の石田僚子さんの同級生ももう社会に出ているし、もし彼女が殺されていなかったら、同じように社会に出ているはずだ。
 たかが遅刻を取り締まるために、重い校門を高校生の顔を見ることもなく、もちろんあいさつの言葉などなく、ドーンと閉めたのである。その先生は鈍い音を聞いて「しまった」と思ったのだろうか。
 高校生たちの顔を見ることもなく門扉を閉めたことが、この事件の本質のように思えて来た。それはもはや、「すさんだ」とかのレベルをこえている。
 いのちを大切にしあいながら、あたりまえの、お互いの顔をみながらの生活を送りたいと願う者である。

続きを読む

関連記事

Back to top button
Close
Close