イギリスの選挙風景
弁護士 峯本 耕治
いよいよ総選挙ですね。「神の国」の将来はどうなるのでしょうか。
もし、今回の選挙で与党が勝つことになると、原稿なしで喋れない首相が承認されたことになるのでしょうか。それはそれで、私たちの選択ですから、落ちるところまで落ちたということで納得するしかないのかも知れません。
しかし、そうは言っても、今の日本の危機的な状況の中で、「首相の資質」が最大の争点というのは余りにも悲しすぎます。
解散直後に地元に戻った議員の演説を聞いていると、あいも変わらず地元への利益誘導のオンパレードで、まともな政策論争は、とても期待できそうにはありません。もちろん、一部では政策論争も行われていますが、(マスコミにも責任があるでしょうが)中身は十分には伝わってきませんし、これまでの選挙でも公約等が守られたためしがないため、どうしても空しさが漂ってしまいます。
ついつい愚痴ばかりになってしまいますが、希望を捨てずに、頑張って投票にいきたいと思います。
イギリスに行く前は、どこの国の選挙も同じようなものだろうという気持ちが半分くらいあったのですが、実際に見てみると、イギリスの選挙風景は、日本のそれとは全く違ったものでした。この選挙風景の違いが、日本社会とイギリス社会の違いを象徴的に示しているように思われます。
日本でも大きく報道されたようですが、イギリスでは、1997年の総選挙で、トニーブレアー率いる労働党が約20年ぶりに保守党を破り、政権を獲得しました。しかも、地すべり的な大勝利です。やはり小選挙区制は恐ろしいもので、この選挙で、労働党は得票率をはるかに超える圧倒的な数の議席を獲得しました。
政権獲得後、労働党政府は、選挙に際して掲げた公約・政策を、次々と実行していきました。かの有名な「影の内閣」(シャドウキャビネット)が「表の内閣」となって、長年の野党時代に練りに練っていた政策を、一挙に爆発させた感じです。
以前にも書いたかも知れませんが、イギリスは本当に制度改革が好きな国です。例えば、教育分野だけを見ても、1980年代後半から1996年にかけて2年に一度くらいのペースで、基本となる教育法の改正が行われました。保守党政権下においてすら、そうだったわけですから、教育改革を第一公約として政権についた労働党政府の姿勢はおして知るべしで、大胆な改革を次から次へと実行に移しています。改革の結果を判断するにはしばらく時間が必要ですが、政策の良し悪しは別にしても、日本人の私からすると、その迫力にはすごいものがありました。





